こんにちは!コタローです。
先日、第48回技術士全国大会(リンク)に参加してきました。
総監技術士になってから初めての全国大会だったため、休日でしたが開催地の奈良観光もかねて行ってきました。
本記事では、大会参加(第1分科会、記念講演)を通じての学びメモを記します。
参加したかったけど叶わなかった方の参考になれば幸いです。
大会参加のきっかけ・目的
2021年度の技術士第二次試験で総合技術監理部門に合格。総監技術士になって初の全国大会ということで、CPDの一環として参加しました。
また、アンドロイドで有名な石黒先生が記念講演されることも参加を後押しした一因でした。
今回の全国大会のテーマは「技術の融合と新たなイノベーション」。
「技術の融合」は総監技術士に要求される技術力のコアとなるところですし、「イノベーション」は言わずもがな技術者に必要ですので、これらのヒントを得て今後の技術力向上を図ることが参加目的です。
参加した会合
大会プログラムのうち、10/29(土)午前の分科会(第一分科会)および午後の分科会報告、記念講演に参加しました。それぞれの概要は以下の通りです。
事務的なメモ
会場で受付をすると大会記念誌や技術士関連のチラシ、ご当地のお菓子などをいただきました。
プログラムの参加後は、帰路のテーブルに置かれたCPD行事参加票を取って帰る流れ。
ほとんど40代オーバーで1割くらい30代というような参加者でした。ちなみに参加者は9割以上が男性。95%ぐらいかもしれません。。
大会参加を通じた学びメモ
ここからは分科会や記念講演を聴講して感じたことや学んだことを簡単なメモとして記していきます。
【第一分科会】イノベーションを生み出す力
いのち輝く未来社会を目指して ~2025年大阪・関西万博参画への思い~
- 講師はパナソニック役員の小川理子氏。ジャズピアニストとしても活躍されているそうで、パナソニックでも音響の研究等に従事。大阪万博誘致のプレゼンターも務められた。
- Suita サスティナブル・スマートタウン(Suita SST)
- パナソニックが進めるCRE(企業不動産活用)戦略に基づく工場跡地等を活用したサスティナブル・スマートタウンプロジェクトの第3弾。
- 「社会・地域課題」を共創イノベーションで解決し、様々なまちづくりへ提案するというもの。
- 大阪・関西万博パビリオン ノモの国
特に印象に残ったのはSST。このようなプロジェクトがあることすら知らなかったアンテナの低さを反省。。経済性、人的資源、情報、安全、社会環境のすべての管理技術が関わる、まさに総合技術監理が求められるプロジェクトで今後どのような街になっていくのか注目していきたいです。
バイオニックヒューマン ~バイオ医療デバイスを支える半導体技術~
- 講師は奈良先端科学技術大学院大学副学長の太田淳氏。専門分野はバイオ医療応用CMOSデバイス(参考リンク)
- 半導体の用途は、モノだけでなくヒトへと広がっている。
- バイオ医療応用のための半導体デバイスの研究は、日本以外で盛んにおこなわれている。日本で学会を開いても参加者は海外の人ばかりという状況。
- ヒトの体内で半導体デバイスを使うためには、電力供給が課題。最近は超音波での電力伝送が注目されている。
バイオ医療に関する分野の聴講は初めて。これも技術士全国大会のいいところ?
自分自身の老後にはこのような分野の研究成果が活用された医療を受けることができるのかも…と思うと興味深かったです。日本以外で盛んに研究されているのか…
新事業を生み出すための、企業内イノベーション活動
- 講師は沖電気工業イノベーション推進センターの川本康貴氏。情報工学部門の技術士の方です。
- 印象に残った言葉
- 技術だけでもダメ。とはいえ技術は差別化の源泉
- 事業なき技術は無駄。技術なき事業は無謀。
- イノベーションの実現を促す国際規格ISO56002(IMS:Innovation Management System)が2019年に発行された。
- 川本氏によると、IMSの本質は「やめる」のルール化。イノベーションや新規事業開発は、そもそもうまくいかないことがあり得る。そのことも含めてルール化されている。
- (経産省が関連する行動指針を策定していたので参考情報)
日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針を策定しました
- 企業内イノベーションでは社内コンセンサスを取るのが難所。ルールを活用するのもよいが、最後はやっぱりパッション!
日々イノベーション推進に活動されていることが感じ取れる内容で勉強になりました。
「やめる」のルール化という発想が乏しかったので業務にも取り入れていきたい。
記念講演「ロボットと未来社会」
- ロボットで有名な石黒浩先生の講演。
- 大阪大学とATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所)の両方を拠点として研究。
- ATRで様々なロボットを開発(リンク)。ATRのロビーにはERICAという完全自律型ロボットがいて、ロビー限定ではあるものの成人女性レベルの対話ができる。
- 人間・ロボット・アバターの共生社会
- ヒトというのは最終的にはヒトと関わりたいもの。そのため、「人間らしい」ロボットを作っている。特定の作業をするロボットではなく、ヒトと関わるロボットを作りたい。
- ロボットには「遠隔操作型ロボット(アバター)」と「自律型ロボット」がある。いまは前者に注力している。便利で役に立つ。
- 身振り手振り付きでプレゼンができるところまで技術は進展。身振り手振りはご本人も勝てないとのこと。
- MOONSHOT型開発事業(内閣府が主導する野心的な目標に対して挑戦的な研究開発を支援する制度)として、アバター共生社会の実現に取り組み中。
- アバターは保育園や学童での紙芝居、スーパーマーケットでの商品説明などで活用できる。遠隔医療でも確実に使える。
- アバターに必要な技術は、インターネット×ロボット×CG映像と日本が得意な領域。ただし、日本は技術ができても止まってしまう。ルールがない世界で突き進まずに誰かに確認して止められる文化。倫理問題やセキュリティ問題への対応は必要だが、やりながら考えればいい。
- アバターがあれば、リモートでアバターに乗り移るような形で働くことができる。障害者や子育て中の方でもできることが広がっていく。
- 大阪・関西万博
- テーマ事業「いのちの輝きプロジェクト」にシグネチャーパビリオン「いのちの未来」を出展
- 技術の社会実装
ロボット・アバターの最新動向を知ることができたことに加え、日本における新技術展開・イノベーション創出に警鐘を鳴らされていたことが非常に印象的でした。心当たりがとてもあります。。
まとめ
本記事では、技術士全国大会の参加を通じての気付きや学びを紹介しました。
総監技術士になって初回の大会ということで気合を入れて現地参加しましたが、収穫のあるもので時間と参加費を投資した価値がありました。
次年度以降もテーマや場所によっては参加してみようかと思います。
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