令和三年度 技術士二次試験〔総合技術監理部門〕~人的資源管理~

学習ノート

技術士二次試験(総合技術監理部門)、択一式問題を改めて解いています。

第二回は人的資源管理の8問!

エビデンスも探しながら記載していますが、もし誤りなどあればご指摘いただければ幸いです。
なお、エビデンスについては論文のような確度の高いものまでは求めず、インターネット検索で引っかけることのできる中央省庁や企業等のホームページなどをメインに活用しています。効率的に作業するためです。

なお、択一式問題の概要や経済性管理については以下の記事をご確認ください。

人的資源管理に関する問題(I-1-9~I-1-16)

人的資源管理の範囲は、総合技術監理キーワード集に以下の通り整理されています。

人の行動と組織,労働関係法と労務管理,人材活用計画,人材開発

読んで字のごとく、人的資源管理は人の管理・活用に関する内容です。

ひとりひとりの育成や能力開発だけでなく、組織に関することも含まれます。

また、近年特に話題・問題として取り上げられることも増えてきた長時間労働や働き方改革、労務管理等も対象ですので、この範囲を学ぶことは特に企業の管理職の方にとって役立つ事項が盛りだくさんです。

I-1-9 労働組合法

1問目は労働関係法と労務管理の分野から労働組合法(労働委員会など)に関する出題でした。

以下、問題文にメモを書き込んだものを掲載していますが、水色ハッチングしたところはキーワード集に登場する用語、赤丸が正答、青字が説明です。

正答は②です。

厚生労働省等のホームページに労働組合や労働委員会に関しての記載があり確認できます。

令和元年6月末における日本の労働組合数は約2万4千組合、組合員数は約1,000万人です。このうち、パートタイム労働者の組合員数は約133万人で、これはパートタイム労働者を調査事項に加えた平成2年以降、過去最高を更新しています。

労働組合数と労働組合員数は?(出典)厚生労働省HP

労働委員会とは、労働者が団結することを擁護し、労働関係の公正な調整を図ることを目的として、労働組合法に基づき設置された機関で、

[1]中央労働委員会(国の機関)

[2]都道府県労働委員会(都道府県の機関)

の2種類が置かれています。

 労働委員会は、公益を代表する委員(公益委員)、労働者を代表する委員(労働者委員)、使用者を代表する委員(使用者委員)のそれぞれ同数によって組織されています。

労働委員会の概要(出典)中央労働委員会HP

労働委員会が扱う労働争議の調整には、あっせん・調停・仲裁があり、中央労働委員会のホームページに特徴が整理されています。⑤は調停と仲裁が混ざったひっかけ問題ですね。

あっせん・調停・仲裁申請について(出典)中央労働委員会HP

I-1-10 労働者派遣法

2問目も 労働関係法と労務管理の分野からの出題でした。

いわゆる派遣法に関するもので、正答は③です。

派遣労働者と雇用契約を締結するのは派遣元なので、派遣先ではなく派遣元での労使協定の範囲内で時間外労働や休日労働を行わせることができる。というのが正しい内容になりますね。

関係図は以下の通りです。

派遣先企業・派遣労働者・派遣元の関係(出典)パソナHP

I-1-11 育児・介護休業法、労働基準法

引き続き労働関係法と労務管理の分野からの出題でした。
育児・介護休業法、労働基準法に関するもので、正答は②です。

上記の厚生労働省のサイトで調べてみたもの、③や④は育児・介護休業法のあらましのサイト中の各資料の細かなところまで読み込まないと理解できませんでした。難しい。。

おおまかに把握するには概要に記載したサイトは視覚的にもわかりやすかったです。

I-1-12 職場におけるセクシャルハラスメント

次はセクシャルハラスメントに関する出題。パワハラも含めてハラスメントに関する知識はしっかり持っておきたいですね。正答は②

対価型、環境型セクハラについては以下資料に簡潔にまとめられております。

職場におけるハラスメント(出典)厚生労働省HP(パンフレット)

I-1-13 組織文化

ここまでは労働関係法に関する出題でしたが、今回は人の行動と組織の分野から組織文化に関する出題です。正答は③です。

経営学の用語に分類されると思うので、MBA関連の書籍などを見れば詳細説明が出てきそうです。

I-1-14 賃金管理(労働生産性・労働分配率)

日本の労働生産性および労働分配率に関する出題です。正答は①
個人的に労働生産性(の向上)にとても興味があるので詳細を調べてみました。

労働生産性や労働分配率に関する情報は以下のホームページが参考になります。

日本生産性本部は政府と連携する民間団体として1955年に設立された、経済界・労働界・学識者の三者から構成される組織だそうです。私も今回初めて知りましたが、労働生産性に関するデータがたくさん掲載されていました。

設問②、③は以下の推移グラフよりわかるように不適切です。
資本金が大きい企業ほど労働分配率が高くなっています。これは資本金が大きいほど設備やシステムに投資できるので、少ない人件費で付加価値を創出できる(つまり労働分配率=人件費/付加価値は下がる)可能性が高くなるからだと推測できます。
また、全産業の労働分配率は70%程度となっています。付加価値の半分以上は人件費なのですね。

資本規模別にみた労働分配率の推移(出典)令和3年版 労働経済の分析

設問④について、以下より労働生産性は「製造業」の方が「宿泊・飲食サービス業」より高いことがわかります。人手を必要とする分野では相対的に労働生産性低くなると解説されています。

主要産業の労働生産性水準の推移(出典)日本生産性本部 生産性データベース

設問⑤については、「日本の生産性は低い!」ということをニュース等でも耳にするかと思います。
実際、以下の棒グラフを見るとG7最下位であることがわかります。。
ちなみに出題にあるGDPだけでなく、生産性も最下位です。最下位チームの構成員として、少しでも生産性向上できるよう頑張ろうと思います…泣

労働生産性の国際比較 2020(出典)日本生産性本部 労働生産性の国際比較報告書

I-1-15 メンター制度

人材開発の分野からは、メンター制度に関する出題でした。正答は④です。

少し古いですが、女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」の資料が厚生労働省のサイトに掲載されています。

女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」|厚生労働省
女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」について紹介しています。

この資料の存在・タイトルを知っていれば、④と即答できた問題だったようですね。

直属の上司・先輩ではない斜めからの支援をする社内制度がメンター制度のポイントです。

I-1-16 職能別組織・事業部制組織

人の行動と組織の分野から組織構造に関する出題で、正答は①です。

職能別組織は、職能や役割ごとに分けられた組織形態のことですね。事業部制組織は以下が参考になります。

本社部門の下に、事業ごとに編成された組織(事業部)を配置した組織形態。本社部門の負担を減らし、各事業で迅速な意思決定ができる。

企業が多角化したり、地理的に拡大したりすると、本社部門がすべての事業に関する意思決定を行うのは難しくなります。事業部制は、事業運営に関する責任・権限を本社部門が事業部に委譲することで、本社部門の経営負担を軽減するとともに、各事業の状況に応じた的確で迅速な意思決定を促進しようというものです

事業部制とは(出典)野村総合研究所 用語解説

(エ)に関しては、事業部制だと事業部長が事業運営に関する意思決定・経営判断をします。それが次世代の経営者の育成にもつながるということだと思います。

まとめ

以上、人的資源管理に関する8問でした。参考になれば幸いです!

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